吉原芸術大サービス

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吉原芸術大サービスとは、2013年3月3日~10日の会期中に台東区千束の「吉原地区」各所で行われた、現代美術の展示・パフォーミングアーツ・伝統芸能のフェスティバルである。

2014年1月に次回開催予定!

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***以下フライヤーより

吉原は現在の台東区千束付近にあった地域で、江戸時代幕府に認められた遊廓として日本中に知られていた場所です。そこで暮らす遊女たちは厳しいルールの元に置かれ物理的にも堀で囲まれていたので、そこから一度も出ることなく一生を終える人がいるほどの特殊な地域でした。そのことによって吉原は単なる売春街の域を超え、新しいファッションや芸能を生み出す「文化の発信地」となりました。時代が移ったのちも政府からいわゆる「赤線」地帯として認められ、様々な変遷を経た今ではソープランドが立ち並ぶ町として知られています。

縁あって、このような場所で芸術祭を開催できる運びとなりました(※)。当初は「この地だからこそ発展した文化とその変遷が、未来にむけてどう変化するのか。その予見となるような芸術祭にしたい」という考えがありました。それはキーワードとしての「線」というイメージを通して、吉原という場所の空間と時間を俯瞰して捉えることでした。
しかし若い私たちに相応しいのは、地図や年表の上に達観して線を引く行為ではなく、吉原の「線」のイメージをもっと主観的なものとして捉える事でした。この地で出会った人々の顔を思い浮かべながら、(思い出されるのは、神社に壁画を奉納したことをはじめ、喫茶店に何度も通って行きつけの店をつくったことであり、昔からここに住んでいる方々と一杯やったことであり……)視線をぐっと地上レベルまで落とす。そして芸術家としてここで作品を発表することを試みます。すると「線」のスケールが、机上の紙にペンで引いたようなものから、果てしない奥行きを持ったものへと変貌します。
前置きはこのくらいにして、力のあらん限りこの線の上を進みます。ついてきてください。
(文:橋本匠)

※本プロジェクトの主催であるアトリエ空鼠は、2011年度の吉原弁財天改修工事に壁画や彫刻などの美術面で携わりました。それがこの企画の直接のきっかけとなっています。